人気ブログランキング | 話題のタグを見る

葉山町議会議員への公開質問状 回答について その2

7月19日、知りたいかい葉山第5回の勉強会に出席いただいた町議員の方は・山梨崇仁氏 ・森勝美氏の2名でした。お仕事、所要等で皆さんお忙しいとは思うのですが、神奈川県庁の県土整備部砂防海岸課 なぎさづくり班から来ていただく村上義隆氏の「相模湾におけるなぎさづくり」についてのお話を聞ける良い機会なのに、とても残念でした。
今回から回答をいただいた12名(内1名は意見書)の方の回答等を、順不同で随時ご紹介していこうと思います。

●17−NO.1 山梨崇仁議員(当選回数1回)の回答
(*メールでいただきました。)

質 問
1. 数年前の過去にさかのぼりますが、国、県から交付金がもらえる(といっても町のお金も使うわけですが)漁村再生交付金「真名瀬漁港再生計画」の内容を議会で認められたのは何故ですか?  私たちには、その状況・時期なども正確にはわかりません。できればその経緯も含めて教えてください。

2. 平成19年度 葉山町の予算 農林水産業費 水産業振興費の中に「漁村再生交付金制度の漁港環施設建設事業として、『昭和の日』創設記念事業の『昭和の散歩道』の一環として遊歩道を真名瀬漁港区域内に設置し、豊かな自然環境と歴史・文化といった葉山の地域資源を生かし、海浜利用を増進し、地域の活性化と都市住民との交流を図るとともに市町村創造型事業として漁礁周辺の効果調査及び種苗放流を実施する。」(予算書105ページ)とありますが、予算で通されたのは何故ですか?


回 答

1.2.真名瀬漁港再整備事業の議決、平成19年度予算が通ったことについて大変申し訳ありませんが、ご質問のときに議席をいただいておりませんでしたので、当時の経緯や議論など詳細なことについてはお答えしかねます。しかし、仮に今後、このような予算計上があれば厳正に調査し、「具体的な予算内容」が明確にならなければ、反対の立場をとらせていただくと思います。
真名瀬漁港再整備事業の中で具体的でない点を、上記の予算書内の言葉に限って指摘させていただきますと、まず、お示しの予算説明書の文章中にある『昭和の散歩道』の詳細な全体計画は平成19年10月31日に開かれた総務建設常任委員会まで明らかになりませんでした。つまり、予算審議の行われた平成19年3月の時点では、どのような散歩道計画があり、そのなかで真名瀬漁港がどのような箇所に位置づけられているのか、全体計画が全く不透明な状態で審議しなければならなかったといえます。
次に、『海浜利用の増進』、『地域の活性化』、『都市住民との交流』とありますが、それは具体的にどのようなもので、ニーズ、効果がどの程度あるのかという点も非常にあいまいです。水産庁の資料によれば、『海浜利用の増進』は平成16年度の32000人から50000人に。『地域の活性化』については具体的な文言がなく、『都市住民との交流』は『「風光明媚な海岸景観や漁港背後の緑地や花の名所および各種記念碑など葉山の多彩な地域資源を活かし、散策路の整備により都市住民との交流を促進する。」』と具体的な数値もなくイメージが書かれているまでです。そもそも、なぜ460mの遊歩道ができるだけで18000人もの利用者が増えるのか疑問ですが、それ以外については全く資本投資の論拠には足りません。
なお、本事業は1億3164万円(平成19年度のみ)もの予算規模があります。そのため、当然、「事業目標の達成までのプロセス」など、綿密な事業計画と目標達成までの職員の取り組み方法が担保されなければなりませんが、それも不明です。競争の激しい民間企業では当然ながら、このようなプロジェクトには常に事前、事後の厳しい評価が求められ、貴重な資本投資に最大効果を得られるよう、ぎりぎりの挑戦が続けられます。しかしその点、行政は競合のいない独占事業で、そのうえお預かりした大事な税金を投入するのですから、常に十分な裏づけデータをもって事業効果を論証し、目標達成に向けた慎重な運営を行わなければならないと考えています。
以上、事業執行の必要性、費用対効果が不透明であること、予算に対する仕事の進め方が評価できない点など、反対の立場をとる主な理由とさせていただきます。


3. 真名瀬漁港再整備事業の中で、漁港環境施設として遊歩道(約1億8千万円)をつくることに

回 答  B.反対している  


4. {3}で{A.賛成またはB.反対}とお答えになった理由は?


回 答
(1)優先順位が不明。福祉、教育、医療など優先すべき課題が山積し町財政が逼迫するなか、なぜいま莫大な費用をかけて遊歩道設置を行わなければならないのでしょうか
(2)約1億8千万円で460メートルの遊歩道をつくる、その費用対効果が不明です
(3)460メートルの遊歩道の必要性に疑問があります
(4)自然の砂浜の消波効果等を無視し、生息する自然生態系の破壊につながる可能性もあります
(5)減少する砂浜、波浪災害の大型化している近年の状況などをかんがみれば、後年、構造物のメンテナンスなど継続的経費が膨大になる可能性もあります
(6)「漁港再整備」というものと、対岸の砂浜における「遊歩道建設」の関連性が分かりません

5. {3}.で{B.反対}とお答えになった方にお聞きします。
  どうようなものが真名瀬漁港の遊歩道の代わりにふさわしいとお考えですか?


回 答
真名瀬漁港内、遊歩道設置予定箇所は、砂浜のままでよいと考えております。
なお、ご質問が漁港再整備事業の交付金使途の代替案としてアイディアがあるか、ということであれば、私見としての方向性を明記させていただきます。
(1)地域活性化に直接寄与する漁港としての設備施策
地産地消の市場や、子供たちが漁業に触れあえるように、安全で開かれた漁港となるための再整備。そのためには、例えば市場を開くためのスペースの整備や、漁港の入口を開放して子供たちが入っても安全の確保される通路や看板の設置などが考えられます。
(2)環境保全と近隣を高波から守ることに配慮した施策
養浜事業による砂浜の回復。サンドバイパスシステムのように、漁港近くの海底砂を人工的に汲み上げて砂浜に戻し、生態系を壊さないよう自然環境にやさしい手法で砂浜の回復を図ること。
(3)環境教育、環境配慮型まちづくりに向けた施策
自然エネルギー設備の導入。風力、太陽光発電装置などを漁港内に設置し、灯台の灯や漁業施設のエネルギー供給を補助する。環境資源として、町のイメージ向上にも有効ではないでしょうか。


6. 今後このような交付金事業が発生した場合、どのように対処なさいますか?


回 答 
ご指摘の「交付金事業」とは三位一体の改革で、従来の補助金から交付金に名称が変った国や県からの補助事業のことだと思いますが、交付金事業は葉山町の主体性を失わない枠内でなければ、極力活用を避けるべきだと考えています。
そもそも地方自治体は可能な限り自主財源で運営されることが望ましく、国や県の補助に頼らず、独自の政策、発言ができる財政運営を目指すことが必要です。「ひも付き」と揶揄される補助金や交付金にいつまでも依存していては、国や県による全国画一的な視点の勧告や指導から離れられず、そういった拘束力のあるお金が、町独自の意向を阻害する要因になりかねません。
したがって、葉山町が交付金の交付基準を念頭においた政策立案から脱却し、町の意向と方向性を第一に考えて施策を進めていただけることを常に求めていきたいと考えております。
なお、マクロに見れば、国や県のいずれのお金も私たちの税金ですから、余剰金のような感覚で予算の消化を急ぎ、結果、無駄に使われるような事態は絶対あってはなりません。長年、普通交付税の不交付団体でもあった葉山町は、依然、自主財源比率が高い自治体です。下水道やごみ処理、人件費を下げることで、独自の行政運営、自立した町のあり方を模索することができる数少ない自治体でもあります。いまこそ行財政改革を徹底し、本当の意味での葉山らしいまちづくりに臨む準備をするべきです。


7. 葉山町議会議員として今後の取り組み、信条、信念など、お聞かせ下さい。


回 答
「見える政治へ。時流に合わせたまちづくりへ。」私はこの言葉をテーマに選挙の前からこれまで議員活動を続けてまいりましたが、この信念は当然これからも変りません。
私は自身のサラリーマン時代の経験を背景に、議員が選挙のときだけしか見えないという遠い距離感を解消し、常に町民の皆様から見えて、身近に感じられる政治を実践したいと考えてまいりました。
また、議員は町民の皆様の代表という立場だけではなく、皆様と協議してその声を代弁し、そしてその結果がどうなったのか、を伝えに来る立場として、行政と現場にいらっしゃる町民の皆様のパイプ役を果たすべきだとも考えています。それによって初めて皆様のニーズと、行政の考える政策が合致し、本当の意味で、時流に合った葉山町のまちづくりが進められると信じています。
そのために当然のこととして、議員は自身の政治活動の情報公開、説明責任を果たさなければなりません。その内容は、お約束した政策や自身の活動はもちろん、政治にかかるお金の動きも全てお伝えするべきで、私は活動レポートの配布をもって実践しております。昨年1年間ではA4両面の活動レポートを6万枚以上個人で制作し、ポスティングや駅頭での配布を行いました。また、ときには街頭での演説や、メール配信などでも情報伝達を心がけており、この夏からはようやくホームページの開設を行い、さらに情報発信を強化してまいります。
なお、議会における昨年度の実績としては、議会中継の導入を訴え、実現することが決まりました。着実に見える政治を進め、これからもさらに町民の皆様に分かりやすい情報伝達と結果説明を行ってまいりたいと思います。

次に議会内での姿勢ですが、前述のとおり、議員は個人で町民の皆様と協議し、議会内での発言権等を行使し、結果の説明責任を負っております。そのため、その考え方や採決の態度表明は一切個人の責任で行うべきだと考えております。したがって、議会内での会派による行動や発言の意思統一、首長の判断に従う与野党の政局の構図などには一切関わるべきではありません。
地方分権が進み、国や県からの自立、独自性を担保しなければならない地方自治体において、自治体議員には、より高度な知識と判断力が求められています。そして、自らの視点で課題を発見し、批判や修正を言うだけでなく、専門的な視点で解決策を提案できる資質の政治家であるべきだとも考えております。私はまだまだ力不足ではありますが、そのために日々、情報収集にはアンテナを高く張って活動し、政策研究には多くの分野の勉強会や大学院での講義などに積極的に参加し、葉山町の状況分析から、必要に応じた政策提言ができるよう努めております。
これからも、町の皆様に私の政治家としての活動が必要とされる限り、全力で町民の皆様のために走り、研鑽を積み、働いてまいりたいと思っております。

最後に、文章が長くなってしまい大変恐縮なのですが、今回、このような質問をいただきまして誠に感謝しております。今後とも引き続き、議会と町民の皆様が近く、ともに考えられるようお力をいただければ幸いです。微力ながらできる限りのお手伝いをさせていただきます。
なにとぞよろしくお願いいたします。

2008年7月18日 葉山町議会議員 山梨崇仁 記

by shiritaikai | 2008-07-26 09:29 | 議会関係  

<< 葉山町議会議員への公開質問状 ... 葉山町議会議員への公開質問状 ... >>